はじめまして。石丸志門と申します。私はかつて、ジャニーズ事務所(現・SMILE-UP.)に所属していました。10代の頃、ジャニー喜多川から長期にわたり性虐待を受けたことを公表しています。
2023年には「ジャニーズ性加害問題当事者の会」で副代表を務め、記者会見や要望書提出などに関わってきました。多くの当事者の声が社会に届くよう、仲間と共に声を上げてきました。
しかし、自分自身の被害を訴えることは、簡単ではありません。長い間、誰にも言えず、なかったことにして生きてきました。
そんな私に対して、2024年11月、SMILE-UP.は訴訟を提起してきました。「補償債務は1,800万円を超えて存在しない」という確認を求める債務不存在確認訴訟です。「これ以上の補償債務(責任)は負わない」とする姿勢を、裁判によって確定させようとするものです。
はじめは、とても戸惑いました。被害を受けた側が、加害企業から訴えられるという事態に、言葉を失いました。でも、だからこそ立ち止まってはいけないと、思い直しました。
提示された補償額が、どういう基準で、どのようにして導き出されたのか。なぜ、その金額が「適正」であるとされるのか。そうした説明は一切ありません。
この裁判は、単なる金額の話ではありません。少年期に受けた性加害が、その後の人生にどう影響したのか。企業として、本当の意味で責任を果たすとは何か。それを問うための、大切な闘いだと感じています。
そしてこれは、私一人のためだけの裁判ではありません。補償金額の基準や手続きが不透明なまま、「適正だった」とされてしまうことが、今後、他の被害者の声や権利を押しつぶしてしまう可能性があります。
誰もが自身の被害回復が尊重され、納得できる形での補償を受けられるように。声を上げることが難しい仲間の存在を思いながら、私は法廷に立ちます。
このサイトでは、裁判のこと、性暴力のこと、自分の思いや状況について、少しずつ発信していきます。どうか、見守っていただけたら嬉しいです。